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    シャボン玉はなぜ虹色に見える?

    膜の表と裏で反射した光が重なり、膜の厚さに応じて特定の色が強め合うからです。

    ストローの先からふわりと飛び立つシャボン玉。よく見ると、表面には赤や緑、青や紫の模様が、流れるように動いています。けれども、もとの石けん水には色がついていません。絵の具も色素も入っていないのに、あの色はいったいどこから来るのでしょうか。

    雨粒が光を色ごとに振り分ける虹とも、ガラスのプリズムとも違うしくみです。答えは、シャボン玉の膜の「薄さ」にあります。

    髪の毛よりはるかに薄い膜

    シャボン玉の膜は、石けんの分子にはさまれた、ごく薄い水の層でできています。その厚さは場所や時間によって変わりますが、多くは数百ナノメートルほど。1ナノメートルは100万分の1ミリメートルですから、髪の毛の太さの100分の1よりもさらに薄いことになります。

    大切なのは、この厚さが、目に見える光の波長(およそ380〜780ナノメートル)と同じくらいだということです。光は波の性質をもっていて、それがはっきり顔を出すのが、ちょうどこのくらいの大きさの世界なのです。

    屋外で大きなシャボン膜をつくる少年。透明な膜に紫や青、黄色の色が帯のように現れている
    大きなシャボン膜をふくらませる子ども。膜には、厚さの違いに応じて紫や青、黄色などの色が帯のように現れています。出典: Saral Shots / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

    2つの反射が重なると

    光がシャボン玉に当たると、一部は膜の外側の面で反射し、一部は膜の中に入って内側の面で反射します。私たちの目には、この2つの反射光が重なって届きます。

    内側で反射した光は、膜の中を往復するぶんだけ、長い道のりを進んできています。光は波なので、道のりの差によって、2つの波の山と山がそろえば強め合い、山と谷が重なれば打ち消し合います。これを光の「干渉」と呼びます。

    太陽や電灯の白い光は、さまざまな色の光が混ざったものです。膜がある厚さのとき、ある色は強め合い、別の色は弱め合う。その結果、白い光の中から特定の色が浮かび上がって見えるのです。膜の厚さが変われば、強め合う色も変わります。見る角度によって色が変わるのも、光が膜の中を進む道のりが変わるためです。シャボン玉の色は、膜の厚さを描き出した地図のようなものなのです。

    うずを巻く模様と、消える前の黒

    シャボン玉の色が絶えず動いているのは、膜の中の液体が流れているからです。重力で液体は少しずつ下へ流れ落ちるため、上のほうの膜はだんだん薄くなっていきます。さらに空気の流れや水の蒸発によって膜の厚さはむらになり、色の模様がうずを巻くように変わっていきます。

    膜がどんどん薄くなると、やがて色が消え、黒っぽく見える部分が現れます。膜が光の波長よりずっと薄くなると、外側の面と内側の面で反射した光がほとんど打ち消し合い、光がほとんど返ってこなくなるからです。外側の面で反射するときに、波の山と谷が入れ替わる性質があるため、道のりの差がほぼなくなると、ちょうど打ち消し合う関係になるのです。この黒い部分は、シャボン玉が割れる前ぶれでもあります。

    黒い背景の中に、虹色の同心円模様をもつ大小の丸い島がたくさん浮かんでいるシャボン膜の接写
    シャボン玉の膜を接写した写真。黒く見える部分はとても薄くなった膜で、厚みの残る部分が島のように色づいています。出典: KarlGaff / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons

    ニュートンも見つめた色

    薄い膜に現れる色は、昔から科学者たちの好奇心をくすぐってきました。万有引力の発見で知られるアイザック・ニュートンも、シャボン玉や薄い膜に現れる色の並び方を詳しく調べ、1704年に出版した著書『光学』で論じています。

    水たまりに浮かんだ油の膜が虹色に光るのも、同じ薄い膜による光の干渉です。油そのものに色があるわけではなく、薄く広がった膜の厚さが、色を生み出しているのです。

    この性質は、身近な道具にも生かされています。めがねやカメラのレンズの表面には、ごく薄い膜がコーティングされていることがあります。膜の表と裏で反射した光どうしを打ち消し合わせて、まぶしい照り返しを減らすしくみです。そうしたレンズを斜めから見ると、うっすら緑や紫に色づいて見えることがあります。

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