紙は何回折れる?
記録は12回。2002年、アメリカの高校生が長さ約1.2kmのトイレットペーパーで達成しました。
12回
手元にあるコピー用紙を1枚、半分に折ってみてください。もう一度半分に。さらにもう一度。5回、6回と続けるうちに、紙は分厚いかたまりになり、7回目あたりで指の力ではどうにもならなくなるはずです。
「紙はどんなに大きくても、7回か8回までしか折れない」。そんな話が、長いあいだまことしやかに語られてきました。ところが2002年、この「常識」はあっさり破られます。
折るたびに、厚さは2倍
紙を半分に折ると、重なる枚数は2枚になります。もう一度折れば4枚、3回で8枚。折るたびに2倍、2倍と増えていくので、7回折ると128枚ぶんの厚さになります。厚さ0.1ミリのコピー用紙なら、約1.3センチです。
難しいのは、厚くなることだけではありません。折り目の部分では、紙が丸くカーブして外側を回り込みます。重なりが厚くなるほど、このカーブに使われる紙の長さが増え、平らに残る部分はどんどん短くなっていきます。折れなくなるのは、力が足りないからというより、紙の長さが足りなくなるからなのです。
高校生が破った「8回の壁」
この壁に挑んだのが、アメリカ・カリフォルニア州の高校生、ブリトニー・ギャリバンさんです。きっかけは2001年、数学の先生から「何でもいいから12回半分に折ってみなさい」という課題を出されたことでした。
ギャリバンさんはまず、とても薄い金箔を使って12回折ることに成功します。すると先生は、紙でなければ認めないと条件を変えました。そこで彼女は、紙を折るのに必要な長さを計算する式を自分で導き出したのです。
そして2002年1月、カリフォルニア州ポモナで、長さ約1.2キロメートルのトイレットペーパーを使い、同じ方向に12回折ることに成功しました。床をはいずり回るようにして、およそ8時間かかったといいます。この12回は、ギネス世界記録にも「1枚の紙を折った最多回数」として認定されています。
1回増やすごとに、紙は約4倍の長さが必要
ギャリバンさんが導いた式によると、同じ方向に折り続けるとき、必要な紙の長さは、折る回数が1回増えるたびにおよそ4倍になっていきます。
厚さ0.1ミリの紙で計算すると、7回折るのに必要な長さは約0.9メートル。8回なら約3.5メートル、10回で約55メートル、12回では約880メートルにもなります。13回なら3.5キロメートルほど。折る回数をたった1回増やすだけで、何倍もの準備が必要になるのです。普通の大きさの紙が7回か8回で限界になるのは、この式からも納得できます。
42回折れば、月に届く?
では、もしも好きなだけ折れるとしたら、紙の厚さはどうなるでしょうか。
厚さ0.1ミリの紙を10回折ると約10センチ、20回で約100メートル、30回では約100キロメートルになります。そして42回折ると、計算上の厚さは約44万キロメートル。地球から月までの平均距離、約38万4000キロメートルを超えてしまいます。
さらに103回折ると、厚さは観測できる宇宙の端から端までの大きさを上回る計算になります。2倍、2倍と増えていく「倍々ゲーム」の勢いは、私たちの直感をはるかに超えているのです。
もっとも、ギャリバンさんの式で計算すると、42回折るのに必要な紙の長さは約10万光年。天の川銀河の直径(約10万光年とされます)に匹敵するほどの長さになってしまいます。月まで届く紙の塔は、どうやら思考実験の中だけの話のようです。