マヨネーズの名前の由来は?
スペイン・メノルカ島の港町マオンにちなむ説が有名ですが、確かな証拠はなく諸説あります。
1925年
サラダ、たまごサンド、お好み焼き。日本では、何にでもマヨネーズをかけるほど好きな人を「マヨラー」と呼ぶほど、すっかりおなじみの調味料になりました。
卵と油と酢を混ぜてつくる、シンプルなソースです。では、「マヨネーズ」という名前は、どこから来たのでしょうか。よく語られるのは、18世紀の地中海で起きた戦いにまつわる物語です。
港町マオンの「マオネーズ」
舞台は、スペインの東、地中海に浮かぶメノルカ島です。18世紀半ば、この島はイギリスが支配していました。
1756年、イギリスとフランスなどが争った七年戦争のさなか、フランス軍がメノルカ島に攻めこみます。率いていたのはリシュリュー公爵。4月に上陸したフランス軍は、島の港町マオンの近くでイギリス軍が立てこもる要塞を包囲し、6月末に降伏させました。
言い伝えによると、このときリシュリュー公、あるいはその料理人が、マオンで卵と油でつくるソースに出会い、フランスに持ち帰りました。そのソースは「マオンのソース」という意味で**「マオネーズ(mahonnaise)」**と呼ばれ、やがて「マヨネーズ(mayonnaise)」になった、というのです。マヨネーズメーカーのキユーピーも、この話をマヨネーズの誕生物語として紹介しています。
実は、確かな証拠はない
ただし、この話には弱点があります。「マヨネーズ」という言葉が文献に現れるのは、1756年から数十年もたってからなのです。卵黄と油を乳化させた今のマヨネーズにあたるソースが、フランスの料理書にはっきり記録されるのは1806年のこととされます。もしマオンのソースがすぐにフランスで評判になったのなら、もう少し早く記録に残っていてもよさそうです。
そのため、語源についてはほかにもいくつかの説があります。ひとつは、古いフランス語で卵の黄身を意味する「moyeu(モワイユ)」から来たという説。もうひとつは、「こねる」「扱う」を意味する動詞「manier(マニエ)」などから来たという説です。どちらも、材料や作り方そのものから名前がついたという考え方です。
19世紀初めのフランスの美食家グリモ・ド・ラ・レニエールは、「マヨネーズ」も「マオネーズ」も間違いで、正しくは「バイヨネーズ」だと主張しました。フランス南西部の町バイヨンヌにちなむ名前で、この町には新しい料理を生みだす美食家が多く、ヨーロッパ一のハムをつくっているから、というのがその理由でした。また、名料理人アントナン・カレームは、1815年に「マニョネーズ(magnonaise)」という綴りを使っています。
どの説にも決め手はなく、マヨネーズの語源ははっきりしていない、というのが正直なところです。
日本のマヨネーズは卵黄たっぷり
日本でマヨネーズが初めて製造・販売されたのは、1925年のことです。つくったのは、キユーピーの創業者、中島董一郎でした。
中島は1910年代に、国の海外実業練習生としてイギリスとアメリカに滞在し、そこでマヨネーズに出会いました。日本人の体格や健康をよくしたいと願った中島は、栄養価の高いマヨネーズを日本に広めようと考え、卵黄をたっぷり使うタイプを選びます。
ところが、最初はなかなか売れませんでした。キユーピーによると、初年度の売り上げは120箱(600キログラム)。マヨネーズという言葉さえ知られていなかったので、整髪料と間違えられたこともあったそうです。
現在、日本のマヨネーズには、卵黄だけを使うタイプと、白身も含めた全卵を使うタイプがあります。キユーピーは卵黄タイプ、味の素は全卵タイプを中心につくっています。世界的には全卵タイプが主流なので、卵黄のコクが強い日本のマヨネーズは、海外では**「日本のマヨネーズ」**として独自の人気を集めているそうです。