太陽系でいちばん大きな衛星は?
木星の衛星ガニメデです。直径は約5268キロメートルで、惑星の水星よりも大きいのです。
5268km
惑星のまわりを回る天体を「衛星」と呼びます。地球の衛星は月ひとつだけですが、木星や土星は、それぞれ数十個もの衛星を従えています。
私たちの月は、直径が約3475キロメートル。地球の4分の1ほどもあり、回っている惑星の大きさにくらべると、かなり大きな衛星です。それでも、太陽系の衛星の大きさランキングでは5位にとどまります。いちばん大きいのは、木星を回るガニメデです。
水星よりも大きな衛星
ガニメデの直径は約5268キロメートル。月のおよそ1.5倍で、太陽系でいちばん内側を回る惑星、水星の約4879キロメートルよりも大きいのです。準惑星の冥王星とくらべれば、2倍以上になります。
ただし、大きさと重さは別の話です。ガニメデの重さ(質量)は、水星の半分にも届きません。水星が岩石と鉄でできているのに対し、ガニメデは岩石と氷がおよそ半分ずつ混ざってできているため、中身が軽いのです。
タイタンとの「逆転」
じつは、かつて「いちばん大きな衛星」と考えられていたのは、土星の衛星タイタンでした。タイタンは、衛星の中で唯一、濃い大気に包まれています。地上の望遠鏡からは、この大気までふくめた姿が見えていたため、実際より大きく見積もられていたのです。
その誤解を解いたのが、1970年代末から1980年代初めにかけて木星と土星を訪れたアメリカの探査機ボイジャーでした。大気の下にある固い地面の大きさが測られ、タイタンの直径は約5150キロメートルとわかります。ガニメデとの差は、わずか2%ほどでした。
ガリレオが見つけた4つの衛星
ガニメデは、1610年1月にイタリアのガリレオ・ガリレイが手作りの望遠鏡で見つけた、木星の4つの衛星のひとつです。この4つは「ガリレオ衛星」と呼ばれます。ガニメデという名前は、ギリシャ神話の美少年にちなんだもので、同じころに木星の衛星を観測したドイツのシモン・マリウスが提案しました。
ガニメデは、木星から約107万キロメートル離れたところを、7日と3時間ほどかけて1周しています。月と同じように、いつも同じ面を木星に向けたまま回っています。
また、ガニメデは、内側を回るイオやエウロパと、不思議なリズムでつながっています。ガニメデが木星を1周するあいだに、エウロパはちょうど2周、イオはちょうど4周するのです。
自分の磁場と、氷の下の海
ガニメデには、ほかの衛星にはない特徴があります。それは、自分で磁場を持っていることです。1996年にNASAの探査機ガリレオが発見しました。衛星で磁場を持つものは、いまのところガニメデしか知られていません。
表面には、クレーターだらけの暗い地域と、無数の溝や尾根が走る明るい地域があり、明るい地域が全体の3分の2ほどを占めています。暗い地域は約40億年前にできた、とても古い地面だと考えられています。
ガニメデの磁場のおかげで、ガニメデの両極ではオーロラが光ります。2015年、ハッブル宇宙望遠鏡でこのオーロラの揺れ方を調べたところ、氷の地面の下に塩水の海が隠れていると考えるとうまく説明できることがわかりました。NASAによると、その海には、地球の表面にある水をすべて合わせたよりも多くの水があるかもしれないといいます。
この大きな衛星を詳しく調べるため、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は2023年4月、探査機「JUICE(ジュース)」を打ち上げました。2031年7月に木星に着き、2034年12月にはガニメデを回る軌道に入る予定です。地球の月以外の衛星を回る、初めての探査機になります。