宇宙で一番大きな星は?
答え
有力候補は赤色超巨星の「スティーブンソン2-18」。半径は太陽の約2150倍と推定されます。
2150倍
私たちにとって太陽は、とてつもなく大きな存在です。直径はおよそ139万キロメートル、地球を109個並べてようやく端から端に届きます。けれども夜空に散らばる星々のなかには、その太陽が豆粒に見えてしまうほどの巨星が潜んでいます。
では、知られているなかで一番大きな星はどれなのか。答えは一応あります。ただ、その答えには「いまのところ」「推定では」という但し書きが、どうしてもついて回ります。
王座に座るのは、年老いた赤い巨人たち
宇宙で最大級の星はどれも、赤色超巨星と呼ばれる種類です。生まれたときに太陽のおよそ10倍から数十倍の質量をもつ重い星が、晩年を迎えて外側の層を大きく膨らませた姿です。表面温度は3000度台と太陽より低く、そのため赤く輝いています。
候補としてよく名前が挙がるのは、たて座の方向にある星団に属するとされる「スティーブンソン2-18」、はくちょう座の「NML星」、そしてたて座の「UY星」です。なかでもスティーブンソン2-18は、半径が太陽の約2150倍という推定値が発表され、現在知られる最大の星として紹介されることが多くなりました。
物差しを当てにくい星
ここで正直に言っておかなければならないのは、こうした数字がかなり不確かだということです。
遠くの星の大きさは、定規で直接測れるわけではありません。地球からの距離と、星の明るさ、表面温度を組み合わせて計算します。ところが赤色超巨星は数千光年以上も離れているうえ、自分が吐き出したちりに包まれていることが多く、距離も明るさも正確に決めにくいのです。土台の数字が少し変われば、半径の推定は大きく変わってしまいます。
スティーブンソン2-18についても、距離の不確かさが大きいことが指摘されています。また、星の理論からは赤色超巨星の大きさには上限があると考えられており、それに照らすと2000倍超は大きすぎるのではないか、という見方もあります。NML星の推定値も、研究によって太陽の1200倍ほどから2700倍ほどまで幅があります。
そもそも、こうした星には「ここが表面」というはっきりした境目がありません。外側のガスはごく薄く、ぼんやりと宇宙空間へ溶け込んでいます。どこまでを星と呼ぶかによっても、大きさは変わりうるのです。
順位表は、何度も書き換えられてきた
この不確かさを象徴するのが、たて座UY星の物語です。
UY星は2010年代に半径が太陽の約1700倍と推定され、一時は「宇宙最大の星」として広く知られるようになりました。ところがその後、宇宙望遠鏡ガイアが星までの距離を精密に測り直すと、UY星は思っていたより近くにあることがわかりました。近いのに同じ明るさに見えるなら、本当の明るさは控えめで、大きさもそれほどではないことになります。最新の見積もりでは、半径は太陽の約900倍まで縮みました。
それでも十分に巨大ですが、王座からは降りることになりました。同じように、大マゼラン雲のWOH G64という星も、かつて最大級の候補とされながら推定が見直されています。星そのものが縮んだのではなく、私たちの物差しが改良されるたびに、順位表が書き換わっていくのです。
太陽の位置に置いてみると
数字だけではぴんとこないので、太陽系に当てはめてみましょう。
半径が太陽の2150倍なら、およそ15億キロメートル。太陽の代わりにスティーブンソン2-18を置くと、星の表面は水星、金星、地球、火星、木星の軌道をすべて飲み込み、土星の軌道のあたりまで達する計算になります。光の速さで星の周りを一周しても、8時間以上かかります。
時速900キロのジェット機で一周しようとすれば、太陽なら200日ほどで済むところ、1000年以上かかる計算です。体積で比べると、太陽が100億個近く入ってしまいます。
ただし、ここまで膨らんでいても、重さは太陽の数十倍程度にすぎないと考えられています。巨大な風船のようなもので、外側のガスの密度は地上の空気よりはるかに薄いのです。