宇宙ゴミはどれくらいある?
10センチ以上だけで推定約5万4000個。1ミリ以上まで含めると、1億個を超えます。
1.3億個
1957年、旧ソ連が世界初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げてから、およそ70年。今では通信や天気予報、カーナビの位置情報まで、私たちの暮らしは地球を回る数多くの人工衛星に支えられています。
その一方で、地球のまわりには、役目を終えた衛星やロケットの残骸、それらが壊れてできた破片がたまり続けています。いわゆる「宇宙ゴミ(スペースデブリ)」です。いったいどれくらいの量が、地球のまわりを飛び回っているのでしょうか。
10センチ以上だけで、5万個あまり
欧州宇宙機関(ESA)が2025年に公表した推定によると、地球を回る軌道上には、大きさ10センチ以上の宇宙ゴミがおよそ5万4000個あります。1センチから10センチのものは約120万個。1ミリから1センチのものになると、約1億3000万個にものぼります。
このうち、地上のレーダーや望遠鏡で追跡され、軌道がわかっているのは、おおむね10センチ程度より大きなものに限られます。それより小さな破片は、数が多すぎるうえに小さすぎて、一つひとつを見張ることができません。数字の多くは、観測結果とコンピューターのモデルを組み合わせて見積もった推定値です。
ゴミがゴミを生む連鎖
宇宙ゴミが厄介なのは、放っておくと増えていくおそれがあることです。
2007年には、中国が自国の古い気象衛星をミサイルで破壊する実験を行い、追跡できる大きさの破片だけで3000個以上が生まれました。2009年には、運用中のアメリカの通信衛星イリジウム33号と、運用を終えたロシアの衛星コスモス2251号が衝突し、これも大量の破片をまき散らしました。人工衛星どうしが偶然に衝突して壊れたのは、これが初めてのことでした。
破片が増えれば衝突の確率が上がり、衝突が起きればさらに破片が増える。1978年、NASAの科学者ドナルド・ケスラーは、この連鎖がいずれ止まらなくなり、特定の軌道が使えなくなる危険性を指摘しました。この考え方は、彼の名をとって「ケスラーシンドローム」と呼ばれています。
小さな破片が、凶器になる
小さな破片なら大したことはない、と思うかもしれません。ところが宇宙では、わずか数ミリの粒でも深刻な脅威になります。
理由は、そのスピードです。高度数百キロメートルの軌道を回る物体は、秒速7〜8キロメートルという、ライフルの弾丸の10倍近い速さで飛んでいます。向きの違う軌道どうしですれ違えば、ぶつかるときの速さは秒速10キロメートルを超えることもあります。この速さでは、1センチほどの破片でも人工衛星を壊しかねず、10センチを超える物体がぶつかれば、衛星そのものが粉々になると考えられています。
人が暮らす国際宇宙ステーションも例外ではありません。危険な物体が近づくとわかると、エンジンを噴かして軌道をずらす回避行動をとります。その回数は、1999年以来、40回前後にのぼります。
宇宙の掃除は始まっている
こうした状況を受けて、宇宙ゴミを増やさない、そして減らすための取り組みが進められています。運用を終えた衛星を大気圏に落として燃え尽きさせたり、ほかの衛星の邪魔にならない軌道へ移したりするルールづくりも、そのひとつです。
日本の企業アストロスケールは、JAXAのプロジェクトの一環として、宇宙に残されたH-IIAロケットの上段に接近して観察する衛星「ADRAS-J」を2024年に打ち上げました。同年12月には、ロケットの残骸から約15メートルの距離まで近づくことに成功しています。宇宙ゴミを捕まえて取り除く日も、そう遠くないのかもしれません。