ゴルフはなぜ18ホール?
1764年、スコットランドのセント・アンドリュースで、短いホールをまとめて18にしたのが始まりです。
1764年
ゴルフの1ラウンドは18ホール。世界中どこのゴルフ場でも、基本はこの数です。でも、あらためて考えると不思議な数字です。10や20のようなきりのいい数でもなく、何かの倍数として特別な意味があるようにも見えません。
この「18」には、ゴルフ好きのあいだで語られてきた有名な言い伝えがあります。ところが、記録をたどってみると、本当の理由はもっと地味で、もっと実際的なものでした。
もともとは、ばらばらだった
ゴルフは15世紀ごろのスコットランドで盛んになったとされるスポーツです。当時のゴルフ場は、海沿いの砂地に広がる「リンクス」と呼ばれる草地でした。人が設計したコースというより、自然の地形の中にホールを見つけて回る遊びだったのです。
そのため、ホールの数は場所によってまちまちでした。エディンバラ近郊のリースのコースは1744年の時点で5ホール。マッセルバラのコースは長く7ホールで、8番目が加わったのは1832年のことでした。モントローズのように、時代によって7、14、11、25と、ホールの数が増えたり減ったりしたところもあります。1851年に作られたプレストウィックは12ホールで、1860年に始まった全英オープンも、最初はこの12ホールのコースを3周して行われました。
セント・アンドリュースの「22ホール」
そんな中で、のちに「ゴルフの聖地」と呼ばれることになるのが、スコットランド東海岸の町セント・アンドリュースです。ここのリンクスでは15世紀初めにはゴルフが行われていたとされ、1552年には大司教が町の人々にリンクスで遊ぶ権利を認めた記録も残っています。
18世紀のセント・アンドリュースのコースは、海岸に沿って細長く延びていました。ゴルファーは端まで打ち進み、同じルートを引き返してきます。行きと帰りで多くのホールを共用していたため、1ラウンドは22ホールになっていました。
転機は1764年10月4日に訪れます。この地のゴルファーたちの団体、セント・アンドリュース・ゴルファーズ協会(のちのロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ、通称R&A)が、最初の4つのホールは短すぎるので2つにまとめる、と決めたのです。行きで2ホール、帰りでも2ホール減って、22は18になりました。
つまり18という数は、何かの理想から逆算されたものではありません。短すぎるホールを整理した結果、たまたまそうなった数だったのです。
「聖地」の数が世界の標準に
それでも、セント・アンドリュースの影響力は絶大でした。この地のゴルファーたちは、ルールづくりでも中心的な役割を果たしていたからです。19世紀半ばには、R&Aの規則に「リンクスを1周、すなわち18ホールをもって1マッチとする」という趣旨の決まりが書き込まれます。
ほかのクラブも、しだいにこれにならいました。全英オープンの舞台となったプレストウィックも、のちに18ホールに広げられています。こうして19世紀の終わりにかけて、「1ラウンド=18ホール」が世界の標準として定着していきました。
いまのセント・アンドリュース・オールドコースにも、行きと帰りでコースを共用していた時代の名残があります。1863年ごろに現在の18ホールのかたちが整ってからも、7つのグリーンは往路と復路の2つのホールで共有する「ダブルグリーン」のままです。ひとつの広いグリーンに旗が2本立っている光景は、このコースならではのものです。
ウイスキーの瓶はなぜ「18杯」?
さて、冒頭で触れた有名な言い伝えです。昔のスコットランドのゴルファーは、ウイスキーの瓶を持ってコースに出て、1ホールごとに1杯ずつ飲んだ。瓶にはちょうど18杯分が入っていて、それが空になったところでラウンドを終えた。だから18ホールになった、というものです。
いかにもスコットランドらしい楽しい話ですが、これを裏づける記録は見つかっていません。18ホールの由来は、あくまで1764年のセント・アンドリュースの決定にあると考えられています。ウイスキーの話は、後からつくられた笑い話として楽しむのがよさそうです。