髪の毛は1日にどれくらい伸びる?
頭髪で1日およそ0.3〜0.4mm、1か月で約1cmが目安です。
0.3〜0.4mm
美容院で髪を整えてもらってから、ひと月ほどたったころ。なんとなく前髪が目にかかり、襟足がもたついてくる。毎朝鏡を見ていても気づかないのに、ある日ふと「伸びたな」と感じるのが髪の毛です。
それもそのはずで、髪が1日に伸びる長さは、ほんのわずかです。けれども、その小さな数字の裏には、意外なほどきちんとした体の仕組みが隠れています。
1日0.3ミリの成長
頭の髪が伸びる速さは、一般に1日あたり0.3〜0.4mmほどとされています。1か月でおよそ1cm、1年では12cm前後になる計算です。手の爪が伸びるのは1か月に3mmほどとされますから、髪はその3倍ほどの速さです。もちろん個人差があり、年齢や体調などによっても変わります。
1本ずつ見ればごくわずかですが、頭には10万本ほどの髪が生えているといわれます。仮に10万本がそれぞれ1日0.35mm伸びるとすると、合計の長さは1日で35mにもなります。私たちの頭は、毎日せっせと髪をつくり続けている小さな工場のようなものです。
伸びるのは根元だけ
髪の毛は、どこが伸びているのでしょうか。答えは根元です。皮膚の中には「毛包(もうほう)」という袋状の組織があり、その一番奥のふくらんだ部分で、毛母細胞と呼ばれる細胞が盛んに分裂しています。新しくできた細胞が下から押し上げられ、硬いたんぱく質のケラチンで満たされながら、髪の毛になっていくのです。
皮膚の外に出ている部分は、すでに生きた細胞ではありません。髪を切っても痛くないのはこのためです。同じ理由で、「髪や毛は剃ると濃くなる」という話にも根拠はないとされています。切り口が太く見えたり、伸びかけの毛が目立ったりするだけで、根元でつくられる毛そのものが変わるわけではありません。
髪には「寿命」がある
髪は一生伸び続けるわけではありません。1本1本の毛には、伸びる時期と休む時期をくり返す**「毛周期」**があります。
頭髪の場合、伸び続ける「成長期」はおよそ2〜6年続くとされ、その後、数週間の「退行期」を経て、数か月の「休止期」に入り、やがて自然に抜け落ちます。そして同じ毛包から、また新しい髪が生えてきます。頭髪の大部分はいつも成長期にあり、1日に50〜100本ほど抜けるのは、ごく普通のことだといわれています。
髪をどこまで長く伸ばせるかは、この成長期の長さで決まります。成長期が長い人ほど、髪は長く伸びます。一方、まゆ毛やまつ毛は成長期が数か月ほどと短いため、放っておいても一定の長さで抜け替わります。まゆ毛が髪のように肩まで伸びないのは、そのためです。
髪は体の日記帳
1か月に約1cmというペースは、思わぬところで役に立っています。髪には、その毛がつくられていた時期に体の中をめぐっていた物質の一部が取り込まれます。そこで、根元から1cmずつ区切って調べれば、どの時期にどんな物質が体に入ったのかを、おおまかにたどることができるのです。
この方法は、薬物の使用歴を調べる鑑定などに使われています。考古学でも、古い時代の人の髪を分析して、その人が亡くなる前の数か月にどんなものを食べていたのかを探る研究が行われてきました。
髪の毛は、伸びた長さの分だけ、過ぎた時間を記録している。
毎日わずか0.3mmほどの成長が、気づけば何か月分もの記録になっている。そう考えると、鏡に映る髪も少し違って見えてきます。