フラミンゴはなぜピンク色?
食べものに含まれるカロテノイドという色素が、羽にたまるからです。
フラミンゴと聞けば、多くの人があざやかなピンク色の鳥を思い浮かべるでしょう。細長い脚で浅い水辺に立ち、首を曲げて水面に顔をつける姿は、動物園でもおなじみです。
けれど、卵からかえったばかりのフラミンゴのひなは、ピンクではありません。灰色や白っぽい、ふわふわの綿毛に包まれています。あの色は、生まれつき備わっているものではないのです。
色のもとは食べもの
フラミンゴのピンクの正体は、カロテノイドと呼ばれる色素です。ニンジンのオレンジ色や、エビやカニをゆでたときの赤色も、同じ仲間の色素によるものです。
カロテノイドは、植物や藻類、一部の細菌などがつくり出しますが、鳥は自分の体でつくることができません。そこで食べものから取り入れることになります。フラミンゴが暮らすのは、塩分の多い湖や干潟です。そこには、色素を多く含む藻類や、それを食べる小さなエビの仲間などがたくさんいます。
フラミンゴは、くちばしを逆さまにして水につけ、くちばしの縁にあるくしのような構造で、水や泥から小さな餌をこし取って食べます。取り込まれたカロテノイドは体内で変化し、新しく生えてくる羽にたくわえられます。フラミンゴは、食べたものの色に染まっていく鳥なのです。
種類や食べものによって色が違う
フラミンゴの仲間は世界に6種いて、その色合いはさまざまです。カリブ海周辺にすむベニイロフラミンゴは、オレンジがかった濃い赤色をしています。一方、ヨーロッパやアフリカなどに広く分布するオオフラミンゴは、全体に白っぽく、翼に濃い赤やピンクが入ります。
同じ種類でも、何をどれだけ食べているかによって色の濃さは変わります。アフリカの湖にすむコフラミンゴは、スピルリナとして知られる藍藻(シアノバクテリア)の仲間を主な餌にしていて、その色素によって体がピンクに色づきます。色の濃さは、そのフラミンゴがどれだけしっかり食べてきたかを映す鏡でもあるのです。
動物園でピンクを保つ工夫
食べものが色を決めることを示す、わかりやすい例があります。かつて動物園で飼われていたフラミンゴは、換羽をくり返すうちに、だんだん白っぽくなってしまうことがありました。新しく生える羽に、色素が足りなくなったためです。
そこで動物園では、ニンジンや乾燥させたエビを与えるなど、さまざまな工夫が試されてきました。今では、カンタキサンチンなどの色素を加えた専用の餌を使う施設が多くあります。色があざやかなほうが、繁殖もうまくいきやすいという報告もあります。
親が子に与える「赤いミルク」と化粧
フラミンゴのピンクには、子育てとも関わる不思議な話があります。フラミンゴの親は、食道の一部である「そのう」などから、栄養たっぷりの液体を出してひなに与えます。「そのうミルク」と呼ばれるこの液体は、カロテノイドを含んで赤い色をしています。オスもメスもミルクを出し、子育ての期間中、親鳥の羽の色は少しずつ薄くなっていくことが知られています。
さらに2011年、スペインの研究チームは、オオフラミンゴが「化粧」をしているという報告を発表しました。フラミンゴは尾の付け根にある尾脂腺(びしせん)から出る脂を、くちばしで羽に塗りつけます。この脂にはカロテノイドが含まれていて、繁殖期にはせっせと塗ることで、首や胸の羽の色をより濃く見せていたのです。脂を塗らずにいると色はあせていくため、フラミンゴは色を保つために塗り直しを続けていると考えられています。