アイスを食べると頭がキーンとするのはなぜ?
上あごやのどの奥が急に冷えた刺激を、脳が頭の痛みとして感じてしまうためと考えられています。
夏祭りの屋台で買ったかき氷。暑さに負けて、山盛りの氷をスプーンで続けざまに口へ運んだ、その数秒後。おでこの奥やこめかみに、「キーン」と突き刺すような痛みが走ります。思わず目をぎゅっとつぶり、頭を抱えてしまった経験がある人も多いでしょう。
冷たいものが触れているのは口の中なのに、痛むのはなぜか頭です。この不思議な痛みには、きちんとした医学的な名前があり、その仕組みについても研究が進められてきました。
医学の分類にも載っている頭痛
この痛みは一般に「アイスクリーム頭痛」と呼ばれています。冗談のような名前ですが、世界中の医師が使う頭痛の分類である国際頭痛分類にも、「冷たいものの摂取または吸入による頭痛」として、れっきとした項目が設けられています。
その特徴は、冷たいものが上あごやのどの奥に触れた直後に、おでこやこめかみが痛みはじめることです。分類上は、冷たいものがなくなってから10分以内に治まるものとされていますが、実際には数秒から数十秒で消えてしまうことがほとんどです。
食べ方による違いを確かめた実験もあります。2002年にイギリスの医学誌に発表された研究では、中学生145人にアイスクリームを急いで食べるグループと、ゆっくり食べるグループに分かれてもらいました。すると、頭痛が起きた割合は、急いで食べたグループで約27%、ゆっくり食べたグループで約13%と、およそ2倍の差が出ました。
痛みの「取り違え」
なぜ口の中の冷たさが、頭の痛みになるのでしょうか。かぎを握るのは、顔の感覚を脳に伝えている三叉神経(さんさしんけい)という神経です。
三叉神経はその名のとおり3本の太い枝に分かれ、おでこや目のまわり、ほお、あご、口の中などの感覚を受け持っています。上あごやのどの奥が急に冷やされると、その強い刺激がこの神経を通じて脳に届きます。ところが脳は、信号がどこから来たのかを正確に区別しきれず、同じ神経がかかわるおでこやこめかみのあたりが痛いと感じてしまう、と考えられています。
このように、刺激を受けた場所とは別の場所に痛みを感じる現象を**「関連痛」**といいます。心臓の不調のときに左の肩や腕が痛むことがあるのも、関連痛の一種として知られています。
頭の中の血管が急に広がる?
もうひとつ注目されているのが、脳の血管の変化です。2012年、アメリカの研究チームが、13人の大人に冷たい水をストローで上あごに当たるように飲んでもらい、脳の血流を調べる実験の結果を発表しました。
すると、頭痛を感じはじめたタイミングで、脳の前のほうに血液を送る血管が急に広がって血流が増え、血管が元に戻ると痛みも消えたといいます。研究チームは、急に冷えた脳を温めようとして血流が増え、それにともなって痛みが生じているのではないかと考えています。ただし小規模な実験であり、仕組みのすべてが解明されたわけではありません。
また、片頭痛のある人は、アイスクリーム頭痛も起こしやすい傾向があることが知られています。頭痛の起こりやすさには、もともとの体質もかかわっているようです。
上手につきあうには
いちばんの予防法は、先ほどの実験が示すとおり、ゆっくり食べることです。一度にたくさんほおばらず、口の前のほうで少し溶かしてから飲み込むようにすると、上あごやのどの奥が急に冷えるのを防げます。
それでも痛くなってしまったときは、舌を上あごに押し当てて温めたり、常温の水を飲んだりする方法がよく紹介されています。いずれにしても、アイスクリーム頭痛はたいてい短い時間で自然に治まります。冷たいものを食べていないのに強い頭痛が続くときは、別の原因が考えられますので、医療機関に相談しましょう。