血液型と性格は関係ある?
大規模な調査では、関係はほぼないという結果が出ています。性格の違いの0.3%も説明できませんでした。
0.3%
初対面の人との会話で、「何型?」と聞かれたことのある人は多いでしょう。A型は几帳面、O型はおおらか、B型はマイペース、AB型は二面性がある。テレビの占いや雑誌の特集でも、血液型と性格の話はすっかりおなじみです。
けれども、海外ではこの話題はそれほど一般的ではありません。血液型で性格がわかるという考えは、実は20世紀の日本で育ったものなのです。
血液型の発見と、ひとつの論文
そもそもABO式の血液型が発見されたのは、1901年のことです。オーストリアの医学者カール・ラントシュタイナーが、人の血液を混ぜ合わせると固まる組み合わせと固まらない組み合わせがあることに気づき、血液をいくつかの型に分けられることを示しました。この発見は安全な輸血への道を開き、彼はのちにノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
日本で血液型と性格を結びつけたのは、東京女子高等師範学校の教育学者、古川竹二です。1927年、古川は学術誌『心理学研究』に「血液型による気質の研究」という論文を発表しました。少人数の調査をもとにした研究でしたが、大きな話題を呼び、血液型と気質の関係を調べる研究が相次ぎました。
しかし、ほかの研究者が確かめてみると、当てはまらない例があまりに多く見つかりました。1933年には日本法医学会の総会で古川の説は否定され、ブームはいったん下火になります。
1970年代の再ブーム
血液型と性格の話が再び脚光を浴びたのは、それから40年近くたってからです。1971年、作家の能見正比古が『血液型でわかる相性』を出版すると、これが大ヒットしました。能見はその後も次々と関連の本を出し、シリーズの売り上げは累計で数百万部に達したともいわれます。
能見は医学や心理学の専門家ではなく、そのデータは学会で検証できる形では公開されませんでした。条件を整えた調査というより、身近な観察や逸話に頼ったものだったと指摘されています。それでも血液型の話はテレビや雑誌を通じて広まり、日本の日常会話にしっかり根を下ろしていきます。
1万人のデータが示したこと
では、科学的に調べるとどうなるのでしょう。2014年、社会心理学者の縄田健悟は、日本とアメリカで行われた大規模な社会調査のデータを分析しました。対象は2004年と2005年の日本、2004年のアメリカで、合わせて1万人を超えます。
性格や生活態度に関わる68の質問について血液型ごとの回答を比べたところ、65の項目で意味のある差は見られませんでした。差が出た項目も、その違いはごくわずかで、血液型で説明できる性格の違いは全体の0.3%にも満たないという結果でした。血液型と性格はほぼ無関係だと結論づけられています。
それでも「当たっている」と感じてしまうのは、当てはまる例ばかりが記憶に残り、外れた例は忘れてしまう心のくせが働くからだと考えられています。「几帳面なところもあれば、大ざっぱなところもある」といった説明は、誰にでも当てはまりやすいものです。また、血液型のイメージを知っている人が、知らず知らずのうちに自分をそのイメージに寄せて答えてしまう可能性も指摘されています。
笑い話ではすまない「ブラハラ」
血液型の話は、雑談のネタとして楽しむぶんには害がなさそうに見えます。しかし、「B型だから」と決めつけられたり、子どもがからかわれたり、就職や人間関係で不利な扱いを受けたりする例もあり、こうした嫌がらせは「ブラッドタイプ・ハラスメント」、略して「ブラハラ」と呼ばれています。
2004年には、放送倫理・番組向上機構(BPO)の青少年委員会が、血液型で性格が決まるという見方を助長しないよう、放送局に要望を出しました。血液型を扱う番組に視聴者から多くの批判が寄せられ、その中には、学校や就職の場面で血液型による差別意識が生じているという指摘もあったといいます。