竹は1日にどれくらい伸びる?
マダケが24時間で121センチ伸びた記録があります。1時間に約5センチのペースです。
121cm
春になると、竹林の地面からタケノコが顔を出します。掘りどきを逃すと、あっという間に硬くなって食べられなくなる、とはよくいわれることです。それもそのはず、タケノコは目に見えるほどの速さで、ぐんぐんと伸びていくのです。
いったいどれくらいの速さなのでしょうか。日本には、植物の成長としては驚異的な記録が残っています。
24時間で121センチ
林野庁によると、竹が1日(24時間)に伸びた記録は、マダケで121センチ、モウソウチクで119センチ。マダケの記録は、竹の研究で知られる京都大学の上田弘一郎博士が1963年に発表したものとされています。
121センチといえば、小学校低学年の子どもの背丈ほど。1時間に直すと約5センチ、1分間でもおよそ0.8ミリ伸びている計算です。じっと見つめていれば、本当に伸びていくのがわかりそうな速さです。
ギネス世界記録では、「ある種の竹は24時間で91センチ伸びる」として、竹が最も成長の速い植物に挙げられています。日本のマダケの記録は、それをさらに上回るものです。
節ごとに伸びるしくみ
竹がこれほど速く伸びられる秘密は、その伸び方にあります。
ふつうの木は、幹や枝の先端にある成長点で細胞を増やし、少しずつ上へ伸びていきます。ところが竹は、節ごとに伸びる部分をもっています。それぞれの節のすぐ上に成長する帯のような部分があって、そこで節と節のあいだが伸びていくのです。
しかもタケノコの中には、地上に出た時点で、将来の竹の節がすでにすべてそろっています。タケノコを縦に割ってみると、短い節がぎっしりと重なっているのがわかります。下のほうの節から順に、いくつもの節と節のあいだが同時進行で伸びていくので、先端だけが伸びる場合とは比べものにならない速さになるのです。たたんだ望遠鏡を引き伸ばしていく様子を思い浮かべると、近いかもしれません。
3か月で一生ぶんの背丈に
この猛烈な成長は、長くは続きません。タケノコが顔を出してから一人前の竹になるまでの期間は、およそ100日、3か月ほどとされます。
そして、いったん伸びきった竹は、その後もう背が高くなることも、太くなることもありません。木は年輪を重ねて少しずつ太っていきますが、竹の太さは、タケノコとして地上に出たときにほぼ決まっているのです。太いタケノコからは太い竹が、細いタケノコからは細い竹が育ちます。こうして最初の数か月で一生ぶんの背丈と太さを手に入れた竹は、その後、太い種類では20年ほど生きるとされています。
短期間にこれだけの体をつくるには、大量の養分が必要です。それを支えているのが、地下に張りめぐらされた地下茎です。タケノコは、地下茎でつながったまわりの親竹から養分を受け取りながら伸びていくと考えられています。地下茎そのものも、1年に5メートル伸びた記録があるといいます。目に見える竹の速さの裏には、地下のネットワークの力があるわけです。
「筍」の字に込められた速さ
タケノコは漢字で「筍」と書きます。竹かんむりの下の「旬」は、もともと10日間を表す言葉です。タケノコは10日ほどで竹になってしまうから、この字が当てられたという説が知られています。
字の成り立ちには諸説ありますが、昔の人も、タケノコの伸びる速さには目を見張っていたのでしょう。掘りたてがおいしい「旬」の食べものという意味でも、ぴったりの字といえそうです。