世界一大きな木は?
答え
高さならセコイアの「ハイペリオン」。約116メートルあります。
116m
アメリカ・カリフォルニア州北部の海岸近くに、霧に包まれた深い森があります。その奥のどこかに、現在知られている中で世界一背の高い木が立っています。名前はハイペリオン。ギリシア神話の巨人の名をもらった、1本のセコイアです。
「どこかに」と書いたのには理由があります。この木の正確な場所は、公式には明かされていないのです。
霧の森に隠された巨人
ハイペリオンが見つかったのは2006年のことです。二人の自然愛好家が森を歩いて巨木を探し回り、それまで誰も気づいていなかったこの木にたどり着きました。その後、研究者が実際に木に登り、上からテープを垂らして測ったところ、高さは約116メートル。台座を含めて約93メートルある自由の女神像よりも、さらに20メートル以上高いことになります。
場所が伏せられているのは、木を守るためです。発見のニュースが広まると、ネット上の情報を頼りに訪れる人が増え、根元の土が踏み固められたり、周囲の植物が荒らされたりしました。そのため現在、周辺は立ち入りが禁止され、違反すれば罰金などが科される可能性があります。
セコイアがここまで高くなれる理由のひとつは、この土地の霧だといわれます。木のてっぺんまで根から水を吸い上げるのは大変な仕事ですが、海から流れ込む霧が葉を湿らせ、乾燥を和らげてくれるのです。それでも、水を持ち上げる力には物理的な限界があり、2004年の研究では、木の高さの上限は120〜130メートルほどだろうと見積もられています。ハイペリオンは、その限界にかなり近いところに立っているわけです。
体積で比べれば「シャーマン将軍」
ところが「大きい」を高さではなく体積で比べると、王者は別の木になります。同じカリフォルニア州のセコイア国立公園に立つ、ジャイアントセコイアの「ジェネラル・シャーマン」です。
高さは約84メートルと、ハイペリオンには及びません。しかし幹がとにかく太く、根元の周囲は30メートルを超えます。幹の体積は約1490立方メートルにもなり、1本の幹をもつ木としては世界最大とされています。樹齢は推定で2000年を超えるとも見られていますが、正確なところはわかっていません。
ハイペリオンとシャーマン将軍は、どちらも「セコイア」と呼ばれますが、実は別の種類です。前者は海岸沿いに育つ背の高いセコイア(センペルセコイア)、後者は山地に育つ太いジャイアントセコイア。すらりとした長身と、どっしりした巨体。同じ一族の中で、それぞれ違う方向に「大きさ」を極めたのです。
森そのものが1本の木だとしたら
さらに視点を変えると、もっと驚くような候補が現れます。アメリカ・ユタ州にある「パンド」と呼ばれるアメリカヤマナラシの林です。
一見すると、約4万7000本の木が並ぶ、ごく普通の林に見えます。ところが調べてみると、これらはすべて地下でつながった根から生えた、同じ遺伝子をもつ1つの個体だったのです。広さは約43ヘクタール、総重量は推定6000トンほど。ひとつの生命体として見るなら、パンドは地球上で最も重い生きもののひとつとされています。年齢については数千年から数万年までさまざまな推定があり、はっきりしていません。
高さ、体積、そして個体の範囲。どれを物差しにするかで、「世界一大きな木」の答えはまったく違ってきます。