世界最古の動物園は?
今も続くものではウィーンのシェーンブルン動物園で、1752年の開園です。
1752年
休日の動物園は、いつもにぎやかです。ゾウの大きさに驚き、キリンの首の長さに見とれ、サルの身ぶりに笑う。遠い土地の生き物を間近に見られる場所は、昔から人々の心をひきつけてきました。
では、世界で最初の動物園はどこにあったのでしょうか。答えは「動物園」という言葉をどう考えるかで変わってきます。今も営業を続けている動物園なのか、それとも、人が珍しい動物を集めて飼った場所なのか。順番にたどってみましょう。
5500年以上前の「動物コレクション」
驚くほど古い候補が、エジプト南部のヒエラコンポリスという遺跡にあります。紀元前3700〜前3500年ごろ、この地を治めた有力者たちの墓のまわりから、たくさんの動物の骨が見つかったのです。
埋葬されていたのは、イヌやウシ、ヤギのような家畜だけではありませんでした。アフリカゾウ、若いカバ、ワニ、野生のウシの仲間であるオーロックス、そしてヒヒ。まるで動物園のような顔ぶれです。
なかでも研究者の目を引いたのが、ヒヒの骨でした。ナイル川流域にはもともといない種類で、手足や下あごを骨折したあと、骨がつながった跡が残っていたのです。こうしたけがが治るには、守られた環境で少なくとも数週間は生きていなければなりません。ヒヒたちは、人の手で飼われていたと考えられています。
これらの動物が王のペットだったのか、権力を見せつけるための「動物園」だったのかは、まだはっきりしていません。それでも、人が珍しい動物を集めて飼っていた、きわめて古い証拠の1つといえます。
王たちのぜいたく
その後も、珍しい動物を集めることは、長いあいだ王や権力者の特権でした。古代中国の周の文王は「霊囿(れいゆう)」と呼ばれる動物の庭を作ったと伝えられ、紀元前9世紀のアッシリアでは、王がゾウやライオンを飼っていた記録が残っています。
こうした動物の飼育場は、ヨーロッパでは「メナジェリー」と呼ばれました。ただし、その多くは王侯貴族が楽しむためのもので、誰もが自由に見られる場所ではありませんでした。
今も続く最古の動物園
現在まで営業を続けている動物園のなかで最も古いのが、オーストリアの首都ウィーンにあるシェーンブルン動物園です。女帝マリア・テレジアの夫、フランツ1世の命で造られ、1752年の夏に完成を披露しました。
中心に建てられたのは、八角形の優雅なパビリオンです。そのまわりを、動物を飼う区画が取り囲むように配置されていました。パビリオンは皇帝一家の朝食や社交の場として使われ、いまも動物園の歴史的な中心として残っています。現在はレストランになっています。
はじめは宮廷のためのメナジェリーでしたが、しだいに一般の人々にも開かれていきました。1828年には初めてキリンが贈られ、ウィーンの街はキリンブームにわいたそうです。それから270年以上。いまでは広さ約17ヘクタールの園内で500種ほどの動物が飼われ、毎年200万人を超える人々が訪れています。
日本初は上野動物園
日本で最初の動物園は、東京の上野動物園です。開園は1882年3月20日。当時は、農商務省の博物館に付属する施設として生まれました。その後、1924年に皇太子(のちの昭和天皇)の結婚を記念して東京市に下賜され、このときから「恩賜上野動物園」と呼ばれるようになりました。
それ以来140年以上、上野動物園は日本の動物園の歴史とともに歩んできました。1907年には日本で初めてのキリン、ファンジとグレーがやってきて、1972年にはジャイアントパンダのカンカンとランランが来園し、大変な人気を集めています。