国際宇宙ステーションは1日に地球を何周する?
約90分で1周し、1日に約16周します。日の出も1日に16回ほど訪れます。
16周
夜明け前や日暮れどきの空を見上げていると、星のように明るい光の点が、音もなくすうっと空を横切っていくことがあります。飛行機のように点滅することもなく、数分で地平線の向こうへ消えていくその光は、国際宇宙ステーション(ISS)かもしれません。
ISSは、アメリカ、ロシア、ヨーロッパ、日本、カナダの宇宙機関が協力して運用している、人が暮らせる巨大な実験施設です。2000年11月から、途切れることなく誰かが滞在し続けています。そしてこの「宇宙の家」は、とんでもない速さで地球のまわりを回っています。
90分で地球をひと回り
ISSが飛んでいるのは、地上からおよそ400キロメートルの高さです。東京から大阪までくらいの距離を、真上に向かってとった高さだと思えば、意外に近く感じられるかもしれません。地球を直径1メートルの球にたとえると、表面からわずか3センチほどのところを飛んでいる計算になります。
その速さは秒速約7.7キロメートル、時速にすると約2万8000キロメートル。東京から大阪までを、1分もかからずに飛び越えてしまう速さです。この速さで飛ぶと、地球を1周するのにかかる時間はおよそ90分。1日24時間で、およそ16周することになります。
細かくいえば、1周には92〜93分ほどかかるため、1日の周回数は15.5周ほどです。NASAはこれをわかりやすく「1日に16周」と紹介しています。NASAによれば、ISSが1日に飛ぶ距離は、地球から月まで行って帰ってくるのとほぼ同じだそうです。
落ち続けているから、落ちてこない
これほどの速さが必要なのには、理由があります。高度400キロメートルでも、地球の重力は地上の9割ほどの強さで働いています。ISSは、実はずっと地球に向かって落ち続けているのです。
ただ、横向きにものすごい速さで飛んでいるため、落ちていくそばから、丸い地球の表面が向こうへ逃げていきます。落ちても落ちても、地面にたどり着かない。これが「軌道を回る」ということです。中の宇宙飛行士がふわふわと浮いて見えるのも、重力がないからではなく、ステーションごと一緒に落ち続けているからです。
とはいえ、高度400キロメートルにも、ごく薄い空気が残っています。そのわずかな抵抗でISSは少しずつ速度を失い、高度が下がっていきます。その量はひと月に約2キロメートルとされ、ときどきドッキングした宇宙船のエンジンを噴かして、高度を持ち上げています。
1日に16回の日の出
地球を1周するたびに、ISSは昼の側と夜の側を1回ずつ通り抜けます。つまり宇宙飛行士たちは、およそ45分ごとに日の出と日の入りを交互に迎えることになります。その数は、1日にそれぞれ16回ほど。
窓の外では、暗い地球の縁にそって細い光の帯が浮かび上がり、青からオレンジへと色を変えたかと思うと、あっという間にまぶしい太陽が顔を出します。地上なら1日に一度きりの日の出が、ここでは食事と食事のあいだに何度もやってくるのです。
では、これほど頻繁に昼と夜が入れかわる場所で、どうやって生活のリズムを保っているのでしょうか。ISSでは、太陽ではなく時計に合わせて暮らしています。船内の時刻はグリニッジ標準時(協定世界時)に合わせられていて、起床や食事、仕事、就寝の時間が決められています。眠るときは個室で寝袋に入り、窓の外の目まぐるしい昼夜とは切り離されて休むのです。
地上から見つけてみよう
ISSは、地上から肉眼でも見ることができます。端から端まで約109メートルと、アメリカンフットボールのフィールドとほぼ同じ大きさがあり、広げた太陽電池パネルが太陽の光をよく反射するからです。
見えるのは、日の出前や日の入り後の1〜2時間ほど。地上はすでに暗いのに、高いところを飛ぶISSにはまだ太陽の光が当たっている時間帯です。明るいときには1等星よりもずっと明るく輝き、流れ星よりはるかにゆっくり、数分かけて空を横切っていきます。いつ、どの方角に見えるかは、JAXAやNASAのウェブサイトで調べることができます。
あの小さな光の点の中で、いまも数人の宇宙飛行士が働き、食事をし、眠っています。そう思って見上げると、夜空が少し身近に感じられるはずです。