地球の中心は何度?
推定でおよそ5000〜6000℃。太陽の表面に匹敵する熱さです。
5000〜6000℃
私たちが立っている地面の、はるか下。地球の中心までは、およそ6400キロメートルあります。東京からまっすぐ西へ進めば、インドのあたりまで届いてしまうほどの距離です。
人類がこれまでに掘った最も深い穴でも、深さは十数キロメートル。中心までの道のりの、わずか0.2パーセントほどにすぎません。それなのに、科学者たちは地球の中心が何度くらいなのかを、かなりの確かさで語ることができます。その答えは、想像をはるかに超える熱さです。
太陽の表面に匹敵する熱さ
地球の内部は、ゆで卵のような層の構造になっています。いちばん外側の薄い殻が地殻、その下に岩石でできた分厚いマントルがあり、深さ約2900キロメートルから先が、主に鉄でできた核です。核はさらに、液体の外核と、その内側にある固体の内核に分かれています。
中心の温度は、推定でおよそ5000〜6000℃。太陽の表面温度がおよそ6000℃ですから、ほぼ同じくらいの熱さということになります。
この温度を見積もる手がかりのひとつが、内核と外核の境目です。ここでは液体の鉄が固まりつつあるので、その場所の温度は「その圧力のもとで鉄が溶ける温度」とほぼ等しいはずだと考えられます。2013年には、フランスなどの研究チームが、強力なX線を使って超高圧下で鉄が溶ける様子を調べ、境目の温度を約6000℃(誤差はプラスマイナス500℃ほど)と見積もりました。それまで考えられていたより1000℃ほど高い値でした。ただし、実験や計算の方法によって結果には幅があり、いまも研究が続いています。
熱いのに、溶けていない
ここで不思議なことに気づきます。鉄が溶ける温度は、地上ではおよそ1500℃。6000℃もあるなら、中心はどろどろに溶けていそうなものです。ところが内核は、固体の鉄の球だと考えられています。
その理由は、とてつもない圧力です。地球の中心にかかる圧力は、およそ360万気圧。上に積み重なった岩石と鉄の重みが、すべてそこにのしかかっています。圧力が高いと、物質の原子はぎゅっと押しつけられて動きにくくなり、溶けるのにより高い温度が必要になります。外核は温度に対して圧力が足りずに液体のまま、内核は圧力が勝って固体になっている、というわけです。
この液体の外核は、ただじっとしているわけではありません。熱によってゆっくりとかき回され、電気を通す液体の鉄が流れることで、地球全体を包む磁場が生まれていると考えられています。方位磁針が北を指すのも、元をたどれば地球の中心の熱が深く関わっているのです。
誰も行けないのに、なぜわかる
では、誰も見たことのない地球の内部を、科学者たちはどうやって調べたのでしょうか。その最大の道具は、地震です。
地震が起きると、その揺れは波となって地球の内部を伝わり、世界中の地震計に届きます。波は通り抜ける物質の硬さや状態によって、速さや進む向きを変えます。たとえば、横に揺れる種類の波(S波)は液体の中を伝わることができません。この性質から、外核が液体であることが明らかになりました。
さらにその奥に固い内核があることを見抜いたのが、デンマークの地震学者インゲ・レーマンです。彼女は地震の記録を丹念に調べ、本来なら届かないはずの場所に、弱い波がかすかに届いていることに気づきました。そして1936年、核の中にもうひとつ、地震の波の進み方を変える境界があるという考えを発表したのです。手作業で集めた記録から、地球の中心にある球の存在を言い当てたことになります。
その熱は、どこから来たのか
地球の中心がこれほど熱いのは、ひとつには、地球が誕生したときの熱がいまも残っているからです。小さな天体が次々とぶつかり合って地球ができたとき、その衝突のエネルギーや、重い鉄が中心へ沈んでいくときのエネルギーが、膨大な熱になりました。
もうひとつの熱源は、岩石に含まれるウランやトリウムなどの放射性物質が、少しずつ壊れるときに出す熱です。2011年には、岐阜県の神岡鉱山の地下にある観測装置「カムランド」が、地球の内部から飛んでくるニュートリノという素粒子をとらえ、地球から出ていく熱のおよそ半分が放射性物質によるものだと見積もりました。地球は46億年かけてゆっくり冷えながら、いまも内側から自らを温め続けているのです。