噴火で雷が起こるのはなぜ?
噴煙の中で火山灰や岩のかけら、氷の粒がぶつかり合い、静電気がたまるからです。これを火山雷といいます。
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大きな噴火の写真や映像の中で、もくもくと立ちのぼる噴煙の中を、稲妻がジグザグに走り抜けていることがあります。赤く光る溶岩と、青白い稲妻。まるで物語の中の光景のようですが、これは実際に起こる自然現象で、「火山雷」と呼ばれています。
ふつうの雷は、夏の積乱雲のような雷雲から生まれます。では、雷雲がなくても、噴火の上で雷が起こるのはなぜなのでしょうか。
噴煙の中は「静電気の工場」
下じきで髪の毛をこすると、静電気が起きて髪が持ち上がります。物と物がこすれたりぶつかったりすると、電気のプラスとマイナスが片寄ることがあるからです。
噴煙の中では、これと似たことが大規模に起きています。噴き上げられた岩のかけらや火山灰の粒は、激しくぶつかり合い、こすれ合いながら上昇していきます。そのたびに粒は電気を帯び、さらに岩が砕けるときにも電気が生じると考えられています。
電気を帯びた粒は、大きさによって運ばれ方が違います。軽い細かな粒は高く舞い上がり、重い粒は下のほうに残る。こうしてプラスとマイナスの電気が噴煙の上下に分かれてたまると考えられています。その差が限界を超えると、一気に電気が流れて稲妻になるのです。
高い噴煙では、氷も加わる
噴煙が高く昇り、気温が0℃を下回る高さに達すると、噴煙にふくまれる水蒸気が凍って氷の粒ができます。すると、雷雲の中と同じように、氷の粒どうしのぶつかり合いでも電気が生まれるようになります。噴煙がこの高さを超えると、雷の数は大きく増えることが知られています。
一方、高さ数キロメートルほどの小さな噴煙では、火口の近くで岩が砕けるときに生じる電気が主な原因と考えられています。噴火の規模や噴煙の高さによって、雷のしくみも少しずつ違うのです。
なお、火山雷は、どんな噴火でも起こるわけではありません。ハワイの火山のように、高温の溶岩がおもに流れ出るタイプの噴火では、灰を高く噴き上げる噴火とは違って、火山雷はめったに見られません。
1時間に20万回の雷
これまでに観測された中で、とりわけ激しかったのが、2022年1月15日に南太平洋のトンガで起きたフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山の大噴火です。噴煙は高さ約58キロメートルにまで達しました。
世界の雷をとらえている観測網は、この日の協定世界時5時から6時までの1時間だけで、約20万回の雷を記録しました。1秒あたりにすると50回を超える計算です。この観測網は、大噴火の前の2週間ほどのあいだにも、数百回から1000回ほどの雷をとらえていました。
昔から記録されてきた
火山雷を本格的に調べた最初の人物とされるのは、イタリアの科学者ルイジ・パルミエーリです。19世紀の後半、ベスビオ火山の噴火を何度も観察し、雷がたびたび起きることを記録しました。
火山の多い日本でも、火山雷は古くから記録されています。奈良時代の歴史書『続日本紀』には、764年に大隅と薩摩の国境、いまの鹿児島湾で起きた噴火のようすとして、煙と雲で空が暗くなり、稲妻が行き交ったと書かれています。
その鹿児島湾に浮かぶ桜島は、いまも噴火をくり返す活発な火山で、火山雷がよく観察される場所としても知られています。縦に走るもの、横に走るもの、点のように光るものなど、いろいろな形の火山雷が見られてきました。2000年代からは、雷が出す電波をとらえる観測網によって、火山雷も観測されるようになりました。